《MUMEI》
明皇文化祭・二日目
「去年より、人が多く無いか?」


(特に、女子が)


それが、明皇高校の敷地内に入った俺の感想だった。


「キングの影響でしょ」

「お前の姫効果と、志貴のクイーン効果と似たようなものだ」


当たり前のように、志貴が


呆れたように、拓磨が言った。


「ファンクラブの会員もいるし、祐也見つけても、近付けないんじゃないか?

ストーカーのおっさん」

「油断しないでよ、拓磨」

「そうだぞ祐也」

「いや俺は…」


俺は、いつだって警戒していた。


「アンタよ、バカ!」


志貴が拓磨を叩いても


「今のところ、異常無し」


緑川と行動している鏡月がそう報告してきても


(まだ、油断できない)


俺は、警戒していた。


そして、その時はやってきた。


異常な程、タイミング良く。


志貴がトイレに行き、拓磨と俺が近くで待っていた、その時に。


俺の、携帯が鳴った。


(何だ、守か)


「もしもし、どうした?」

《祐也。あのさ、俺、祐也に言ってない事あるんだ?》

「言ってない事?」

《五月に京都に行った時…お、… 「キャッ」 おい!》

「守!?」

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫