貴方の中の小悪魔
を知る神秘の占い

《MUMEI》
日常
今朝も一番乗りで教室に着いた。換気をしようと窓を開けると入ってくる、柔らかな陽光と冷たい風。澄んだ空気はすっかり冬の匂いだった。

(咽喉も鼻孔も干からびそう)

そんなことをぼんやりと考えていたら、後ろから私を呼ぶ声が聞こえてきた。

「かおるちゃぁぁぁん!」

高いのに深みがあって、よく通る声。振り向かなくても分かった。

(サチ、だ)

「かおるちゃん、おはよう!」

サチはニコニコしながら、冷たい指先と湿っぽい掌で、いつも通り私の右手を握ってきた。

「おはよう、サチ」

サチはへへ、と照れくさそうに笑って私の隣りに立ち、一緒に窓の外を眺めた。


全部いつも通り。

前へ |次へ

作品目次へ
無銘の作品を探す
無銘文庫TOPへ