《MUMEI》
目的
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講習が終わると、いつものようにのぞみと登が、俺の周りに集まってきた。


「帰りにマック寄ろーぜ。腹減った〜」


呑気に登が言うと、のぞみが首を横に振る。


「昨日も行ったじゃん。ロッテにしようよ。絶妙ハンバーガー食べたい」


なんやかんや言い合っている。

俺はため息をつき、言った。


「じゃ、間取って、ドムドムで」


しかし、俺のせっかくの提案は、のぞみと登に却下された。


「なに??ドムドムって、近くにないじゃん」


「イマドキ遅れてるぞ〜、将太」


なんか知らないけど、バカにされたみたいだ。





…………つーか、


ドムドムに失礼だぞ。





俺は面倒になり、どこでもいいよ、と投げやりに言った。






で、結局。






登が折れて、のぞみのご希望通り、予備校の近くにあるロッテリアに3人で向かった。

店内はわりと混み合っていて、同じ予備校生の姿もチラホラ見受けられた。

俺たちは、それぞれオーダーしたセットを持ち、空いている4人掛けのテーブルに腰掛ける。

俺の隣の席に登が、のぞみは俺の向かいの席に、それぞれ座る。

登は俺のことが、マジで好きみたいだ……。


「いや〜、今日もお疲れッ!!」


のぞみがそう言っているそばから、登はハンバーガーをがっつき始めた。俺もポテトに手を伸ばす。

のぞみはセットのコーラを一口飲み、顔をあげて俺を見た。


「そーいや、どーすんの??」


俺はポテトを飲み込んで、なにが??と尋ね返した。彼女は焦れったそうな顔をして、一言ずつ区切るように言う。


「志・望・校ッ!」





…………ああ、その話。





俺はジンジャーエールを飲み、そうだねぇ…と、テキトーに返事をする。


「わかんねー。どこでもいいや」


本気でそう思っていた。



みんな、

それぞれ目的があって進学するんだろうけど、

俺は、

どこかの大学をテキトーに卒業して、

どこかの企業にテキトーに就職出来れば、



進学先なんて、どこでもよかった。



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