《MUMEI》

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俺の返事に、のぞみは眉をひそめる。


「ダメだよ、ちゃんと決めないと。目標がないと、勉強出来ないじゃない」


セン公みたいな小言を口にした。

すると、今までハンバーガーに夢中だった登まで話に割り込んでくる。


「このままじゃ、ロクな大人になれないぞ!!」


俺は隣の登を半眼で睨みながら、お前に言われたくない、と言い返して、またポテトに手を伸ばした。

のぞみはまたコーラを飲み、そして思い付いたように言う。


「じゃあさ、わたしと同じ志望校にしたら??」





…………一瞬、俺の動きが止まる。





のぞみと同じ、志望校??





って…………。





俺は顔をあげ、のぞみの顔を見る。


「………お前の志望校って、確か国立じゃなかったっけ??」


のぞみは国立大学志望だと、前に一度、聞いたことがあった。

彼女は引き攣る俺の顔を真っすぐ見返し、「そうだよ」と呑気に頷く。

俺は目眩がした。





…………ムリに決まってんじゃん。





つい、バカか、と呟いた。


「俺の頭じゃ、国立なんて行けないって」


俺のぼやきに、なぜか登が頷く。


「天地がひっくり返っても、有り得ない!」


あまりの言われように、俺は登を睨んだ。

しかし、のぞみは納得しないような顔をして、首を傾げる。


「今から本気で勉強したら、わかんないじゃん」


「わかるよ、絶対ムリだ」


すかさず言い返した俺に、登が「そうそう」と同調する。気になったが無視した。

俺はのぞみを見つめ返して、言った。


「ひとのこと心配するまえに、自分のことやれよ」


登も大きく頷いた。


「将太の将来なんだし、将太自身で決めることじゃん」


珍しく真面目なことを言った。

……けど、なんとなく、声の調子が怒っているみたいに、固く感じた。

何気なく、登の顔を見る。

いつもと変わらない気もしたし、いつもより雰囲気が尖っているような気もした。


不思議に思っていたのもつかの間、


のぞみは胸を張って言い切った。


「とにかく、同じ大学にしておきなよ。それから、変えたっていいんだし」


半ば、のぞみに押し切られるような感じで、この話は終わった。

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