《MUMEI》

こうしてボクは新たな外界へと飛び出した訳だが…

眩しすぎる太陽の光を捉えるには未だ馴れてないボクは…漠然としたその恐怖に怯えながら母親の乳房にすがりつき大声で泣き叫ぶ毎日を送るコトになる


そう…… それは漠然とした恐怖なのだ


そしてボクたち人間は生まれ出たときから次第にモノが認識できヨチヨチ歩きを始め自我に目覚める一年くらいの間の記憶はほとんど残っていないのだ


その外界に晒されながらもゆっくりと成長を続ける…自己を意識しないあの間の長さと言ったら…おそらくほ乳類では人類が王様ではないか……


要するに 今現在その優れた知能によって動物の頂点に君臨し万事保護されている人類には、生まれ出てから自分自身で歩き始めるようになるまでにも外敵と言えば目に見えない細菌くらいなのだから
他の動物と比べたときにゆっくりと成長していくのは当然なのだ 。


では 何故……あの生後一年くらいの間の記憶がほとんど残っていないのだろう……
学者たちは単にそれを目に見え焼き付けた残像がないから……脳の神経組織の未発達として片付けるのだろうか…

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