《MUMEI》 弘也のトモダチ「お前、…変わったな。 まぁ、お前にとって初めてできたお友達だし? さっきの男はともかく美形揃いだし? 大事にしないとな」 「…あいつらには、何もするなよ」 「俺は何もしない」 「『俺は?』」 その部分が、気になった。 「俺にも、友達はいるんだよ」 弘也はそう言って、前にいる運転手の肩に手を置いた。 運転手は否定も肯定もせず、変わらぬペースで運転している。 「こいつ、俺の同級生。最近不況で家でやってた会社倒産したらしくて、俺を頼ってきたんだよ。それで、金と職を与えるかわりにちょっと協力してもらってるんだ」 (こいつにそんな力あったか?) 疑う俺を、弘也は睨みつけた。 「血筋第一な分家や母親の実家に頼めば、これ位どうにでもなるんだよ。 言っておくが、同じ境遇の友達は他にもいるんだぜ?」 (まさか…) 「俺の友達、欲求不満な連中多くてさ」 弘也は携帯の画面を俺に見せた。 「!」 「お前の美人の友達達と仲良くしたいみたいだぜ? 今は俺が止めてやってるけど…な」 弘也が開いた携帯画面には、志貴・希先輩・吉野の姿が写っていた。 前へ |次へ |
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