《MUMEI》
ヒーローの正体
「何者と言われても…


あえて言うなら


ただの、主婦です。


あ、今日は久しぶりに掃除のおばさんしてますけど」


弘也の問いに、俺のピンチを救ってくれたヒーロー


志穂さんは苦笑しながら答えた。


そんな志穂さんの服装は、確かに普段とは違い


一見、どこにでもいる掃除のおばさんに見えた。


「あ、あの…」


躊躇いがちに話しかけた俺に、志穂さんは、うつ向きながら口を開いた。


「とりあえず…何か着ない?」

「え? …あ!」


(忘れてた!)


全裸だった俺は慌ててタオルを腰に巻き付けた。


「ちなみに洋服、無事?」

「無事じゃないです…」

「ちょっと待ってて」


志穂さんはすぐにガウンを持って来てくれた。


(何か、…慣れてないか?)


「おい! 貴様等、俺の存在忘れるとはいい度胸だな!

特に祐也!

友達がどうなってもいいんだな!」


弘也は起き上がり、携帯を掴んでいた。


「や、…」

「もう、どうにもできませんよ。

あなたの知り合いは、全員私の息子と、兄の同級生の部下が倒しちゃいましたから」

「「は!?」」


呆然とする俺と弘也を見ながら、志穂さんは更に続けた

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