《MUMEI》

雹里は慌てて卵から手を放し声がした方を改めてみた。


そこにはハンカチぐらいの小さな毛布を持ったテオルスがいた。


「あ、あの…私」


テオルスは何も言わず、小走りで雹里に近づき卵を見た。


「!!」


「あのすみません、私テオルスさんのとは知らずに勝手に触ってしまい」


「消えてない…」


テオルスの声は小さくどこか寂しい声だった。

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