《MUMEI》 ドアの側まで来ると、磨りガラス越しにうっすらと見えるさくらの姿を見つめていた。 …ちょっとだけなら近くに居てもいいよね…。 「さくら…///」 チリンチリン〜♪ (へっ?) 二人の間を隔てていたドアを思い切って開けると、ベルの高い音がどこからか聞こえてきた。 「ん〜……お前か…」 「あッは…ιさくら///」 フトンの中から目を覚ましたさくらがこっちを不機嫌そうに見ていて、それがちょっと怖くて、視線を反らしたら、その視線の先のドアにベルが付いていた。 「あぁ……忍者屋敷スタイルにしといたから」 「ニンジャι…アッハ…ヤァ(あぁ、そうなの)」 「開けると鳴るから…入ってきたら…通報する」 そう言ってさくらは枕元に電話を持ってきていた。 「わわゎッι…ナィンナィン、入る無いιイッヒ カン セーフコントロール(僕は自制出来る)」 「あぁ、セーフコントロールしてくれ…じゃ…グーデンターク…(こんにちは)」 「グーテナハトゥ(おやすみ)…でっすι」 きちっとドアを閉めると、ドキドキしてた気持ちを落ち着けようと思って、ベッドの側にあった冷蔵庫を開けてその中のミルクを飲んだ。 「…っ〜ビタァ(苦い)…ハァ」 日本のミルクってあんまり美味しくないんだな…。 そう思って昼間にさくらに煎れてもらって飲んだ甘いティーを思い出した。 (さくらの煎れてくれたティー…美味しかったな) …寝よう。 いつも寝てるベッドより、このフトンってのは固いけど…何だか慣れてくると気持ちよくなってきた、特に腰が。 「んん〜っ///」 伸びをすると、今まで飛行機やホテルで曲がっていた全身がスカッとするカンジ。 日本という国は、慣れれば快適なのかもしれない。 …フトンからちょっと足がはみ出してるんだけどね。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |