《MUMEI》

「で──何で今日そんなに機嫌悪いんだ?」

「どうしたらいいか‥分かんないんだ」

「井之上の事か?」

「‥殴り合いしてばっかだし‥‥‥今日だって‥‥‥ミナトとやり合って‥」

「ミナト‥?」

「朝倉‥。ほら、イズミの事イジメてた奴」

「ソイツも来てんのかっ? 意外と頭いーんだなぁ──」

「小百合ちゃんも一緒だよ」

「小百合って──関西弁の?」

「うん。木暮小百合。クラス同じなんだ」

「へー、結構幼稚園組集まってんだなぁ。井之上に朝倉に木暮──」





兄ちゃん、何だか嬉しそう。





「とにかくさ、お前──暫く井之上の彼女でいてやれよ。なっ?」

「それだけでいいの‥?」

「アイツ、お前の事追っかけて来たんだろ? なら側にいてやりな」

「‥‥‥う、ん‥」

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