《MUMEI》

──そう。





小百合ちゃんとは──半年しか遊べなかった。






親の仕事の都合で、あっちこっち行ってたらしい。





「ぁ、そや──井之上君のカバンはどないしたらええかな‥」

「イズミの‥?」





イズミのカバン‥。





「私届けるっ」

「ぇ」

「ありがとね小百合ちゃんっ」

「おい京っ、出かけんのか?」

「すぐ戻るから!」





──何でかなんて分かんない。





ただ、アイツにこれ届けなきゃ、ってそれだけだった。





もう、あんなとこ行くもんか‥って思ってたのに。

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