貴方の中の小悪魔
を知る神秘の占い

《MUMEI》
「少女」
あれから、眠っていた。
気がつけば、朽ちたベッドの上で寝ていたのだ、欠け落ちた壁の隙間から暖かい日の光が差し込む。
「……朝か」
森の奥に住んでいた俺には、太陽の輝きがとても眩しかった。
昨日の出来事は夢だったのだろうか?
起き上がった時、俺はコインを握っていることに気付いた。
「夢じゃなかったのか」
夢で無いとすれば、男はこのコインを持って酒場に行けと言った。
「意を決して行くしかないか」
身なりを整え、俺は初めて人間達に触れることになった。




街の中心では市場が開かれていた。
沢山の人間は行き交い、活気に満ち溢れている。

人々は俺を凝視した。
(…今年の出し物か?にしても二本足で歩く猫とは)
(獣人だ、初めて見た…)
様々な会話が耳を刺す。やはり俺な存在は珍しいのだろう。
(さっさと酒場に行こう…)
少し恥ずかしくなり、足を早めた。

その時


「やーん、可愛い〜♪」
急にガシッと後ろから抱きしめられた。
「ッ!?」
注意力が散漫していた俺はその接近がわからなかった。
振り向く。

そこには、少女がいた。今も俺の毛皮に顔を埋めている。
「ふかふかしてる〜」
「お、おい…離れてくれ」
「えー」
「く、くすぐったいんだ」
少女はパッと体を離す、幼いなからも整い、気品ある顔立ち。
そして燃えるように赤い髪を左右に分けて結んでいる、可愛らしい少女だった。
「私、アシュリーって言うの、あなたは?」
「フィ、フィンク」
「そう、よろしくね!フィンク」
そう言ってもう一度抱きつく

いきなりの出来事に俺はどうすればいいかわからなかった。
(な、何なんだこの子は)

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