《MUMEI》

俺にこんな風に
笑ってくれた人は
いただろうか

いなかった気がする

もっと
この笑顔が見たい…


テオルスは無意識に両手を伸ばし雹里の頬を優しく包んだ。


「?」


雹里は小さく傾げた。


テオルスはゆっくり撫でるように手を下ろすと、雹里から放れていった。


雹里はしばやく小さくなるテオルスの背中を見ていたが、誰にも見つからないように自分の部屋へと戻った。

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