《MUMEI》 こうしてボクは一般の子供もたちが皆そうであるように…ハイハイやバブバブを経て次第にモノを認識する知恵が備わりすくすくと成長していく…… しかし三歳を過ぎた頃の ボクは自分の運命を左右するようなあるケガを負ってしまう羽目になる これも振り返ると確かな記憶は定かではないが… ある夏の蒸し暑い晩に 家族や親戚が集まって花火を楽しんでいる際に 爆竹かなにかに引火した強烈な炎と爆音が運悪くそばにいたボクの小さな鼓膜の片方を破壊してしまい… おまけに左耳の辺りをまるで入れ墨の様なやけどまでしてしまうという…事件が起きてしまった そしてあのとき以来ボクはボクの運命とやらが 崩れ落ちていくパルプの積み木のように はっきりと変わっていくのを偉大なバブチズマの予言者のごとき悲観的な目で確信していたのだ そう…… ボクはあのときに一度死んでしまった… 前へ |次へ |
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