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《MUMEI》 序:触れば儚くて…見慣れた町は、磯の香りを漂わし沢山の幸せを振り撒いていた。 帰ってきたのだとまじまじと感じる。 真悠子は、潮風にうたれながら思っていた。 「百合綺麗やねぇ…」 「うん!」 一人娘の百合はもうすぐ五才になる。 そして、真悠子のお腹には、もうすぐ生まれるだろう胎児がいた。 二人が、歩いていると目の前に百合と同じぐらいの男の子が母親と同じように歩いている。すると、真悠子は気づいたようにあっと呟いた。 向こうもこちらに気づいたようだ。 「久しぶりねぇ真悠子」 そう言って男の子の母親は笑った。 真悠子も笑いながら答えた。 「そうやねかな子、昨日こっちに戻ったんよ。その子は?」 すると、かな子と呼ばれた彼女は顔をほころばせながら言った。 「息子の爽哉その子は娘なん?」 「そうや。名前は、百合って言うんよ。仲ようしてや」 と、真悠子は二人に言った。 こくりと頷いた爽哉。 ニコニコと笑っている百合。 二人の母親たちは、これから始まる物語を予想出来ただろうか… 次へ |
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