《MUMEI》 妖それからは毎年、私はその子に会うようになっていった。 でもその子は、夏祭りの夜にしか現れない。 その夜以外にここに来ても、会えないんだ。 「──おーいっ」 小さく、呼び掛けてみる。 “金平糖ある?” 鈴が鳴るみたいな声。 あるよ、って答えたら、ひょこっ──と出て来た、お面を被った男の子。 10歳位だと思う。 甚平姿で、背はちょっと小さめ。 顔は、まだ見た事ない。 見た目的には、全然、妖って感じじゃない。 初めて会った時は、普通の人間の男の子と見間違えた位。 前へ |次へ |
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