《MUMEI》
first contact
「疲れたな……。」

季節の変わり目、ポツポツ秋雨の降るなか一人呟く。
「腹減ったぁー…」

ここ一週間まともな食事はしていない。

「記憶無い、とか、キツいわ。」

ふと、通りすぎる親子と目が合う、身なり的に自分が腰を下ろしてるゴミステーションの高層分譲マンションの住人だろう。

いかにも見ちゃいけませんという感じで通りすぎる。
ほっといてくれ、誰だって好きでホームレスじゃない。
曇り空を見上げてため息をつく、そのとき

「そこで何してるんだい?」
振り返ると若い男が立っていた。
上品なストライプスーツを着てたつ姿はモデル並みだった。

「あんたは?」

「ここの住人。」

「何か用か?」

「ゴミ捨て。ちなみにただの家出少年なら通報するけど ?」

「!!…わかった場所移動するから勘弁してくれ。」

そう言って立ち上がると

「早とちりだね、何か訳ありみたいだから話でも聞いてあげようかと思ったんだよ。」

「えらい物好きやね、親切心?興味本意?同情?」

「どれかっていうと興味かな、うちに来ないなら通報させてもらうけど。」

そうして微笑みながら携帯を振った。

「……………わかった。」

どうにかなっても何とかすれば逃げれるだろう、そう踏んでオレは男について行くことにした。



これが後悔の第一歩だ。

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