《MUMEI》

金色に髪を染めてる浴衣を着た若い男の子や女の子がいっぱい居たんで、ウロウロと周りを見渡して探していると、その人混みの中に金髪の外国人風な子供が見えた。

「あっ…かな……」

よく見てみると、その女の子の側には日本人と外国人の両親が一緒にいて、顔も全然違う子だった。

(外国人のお父さんに、日本人のお母さんか…)

ありがちな国際結婚カップルを見ながら、ふと、自分たちも似たようなカップルだった事に気が付いた。

…男同士だけど。

「どうしたアキラ?」
「あっ!ドコ行ってたんですか…」

いつの間にか居なくなっていたらしい克哉さんが、ビール片手にたこ焼きを持って、のんびりとこっちに歩いて来ていた。

「コレでも食べて落ち着け」
「…はい」

境内にある石段に一緒に腰掛けると、克哉さんが買ってきたたこ焼きを一つ頬張った。

「はぁ…なんでお祭りのたこ焼きは美味しいんだろう…」
「この雰囲気も楽しんでいるからじゃないか?」

そうかもしれない…。

夜なのに外にいる開放感とこの雑多な中で、僕らに好機な視線を向けてくる人なんて居るワケが無いから、気が楽になって美味しく感じてるような気がした。

「あぁ…そういえばアキラはアルコールが飲めなかったんだな」
「そうですね、僕買ってきます」

たこ焼きだけってのもアレなんで、僕も何かジュースでも買ってこようと思ってちょっと立ち上がった。

「あれ…」

顔を向けた境内方向のなんとなく視線の端っこに、可愛らしい金髪の女の子っぽい子と、その側に細身の男性がが一緒に歩いているのが見えた。

もうちょっと見ようと思ったら、その人達はすぐに境内の奥の方に行ってしまって見えなくなってしまった。

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