《MUMEI》
キレてる忍
「何で忍そんなに疲れてるんだ?」


思い出した疑問よりも、忍の今の様子が気になり、質問したのだが


「あ゛あ゛!?」

「ヒィッ」


(何で睨むんだよ!)


…忍はキレていた。


「…チッ」


(こ、今度は舌打ちかよ!?)


「ハァ…」


(最後はため息!?)


忍はしばらく無言で


執事服の上着を脱ぎ、ワイシャツのボタンを外してぐったりしていた。


「お水どうぞ」

「…」


(無言!? しかも目付き悪っ!?)


俺だけでなく、忍は志穂さんに対しても、態度が悪かった。


「…仕方ないじゃないですか。

ホテルの敷地内を車で移動できるのは、コテージ使用の会員と、清掃のおばさん達だけなんですから」


(て、事は…)


「忍、入口から走ってきたのか?」

「駐車場、…から、だ」

「ほとんど一緒ですよ、それ」


(そりゃ、疲れるよな)


真夏の昼間に、長袖長ズボンの黒い執事服


それで、車で…多分、十分位の道のりを、走れば、いくら忍でも疲れる。


(俺達、すっかりくつろいでるし)


必死になって辿り着いて、見た場面がこれで


あの質問は、キレてもおかしくないと思った。

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