《MUMEI》

「お前ら何やってんだ?


高校生相手に5点差も付けられるなんて…


三島。
速攻外してんじゃね〜よ。


お前もだぞ?


タラタラ攻めて。


…やる気ないなら辞めちまえ!!」









「…」










誰も…
何も答えようとはしなかった。


負けている原因を麻倉のせいにするつもりはない。


ここまで来て誰かのせいにするほど子どもではない。


自分の腑甲斐なさを嘆いていたのだ。










「…もういい。
好きにやれ。」










秀皇コーチの言葉を聞き、


選手たちは各々の時間を過ごした。


そんな選手たちの様子を、


麻倉は見ることができなかった。


麻倉は今、










(…確実に皆に迷惑かけてんのは俺だ。


コーチの言う通り、


辞めるかな…。


なんだろ…


何か…


最近ハンドつまんね〜し。


皆にも迷惑かけるし…)


「はぁ…」










自分のことで精一杯だった。









(最後の高総体…


準決勝…


赤高との試合…


試合は勝った。


でも、


勝負には負けた。


あの時から、


俺の挑戦は始まった。


あいつも秀皇に来ると思った。


同じポジションのあいつから、


スタメンを奪えたら、


勝ったことになると思ったから。


でも、


チャンスは来た。


またあいつと試合をするチャンスが。


そしてこの前…


俺は試合に負けて…


勝負にも負けた…


またいつか。


そんな言葉は今はもう意味を持たない。


だってあいつと勝負することは、


もうできないから。


そう考えたら…


何か…


やる気でねぇよ…)

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