《MUMEI》

「何もッ‥てか妄想じゃないって何回‥‥‥」





‥あれ‥‥‥。





私ってば何見とれちゃってんの‥?





「‥ちゃんと走れ。沢木にまた何か言われんだろ」

「だから走ってるってば‥」





走ってんのにあんたが──‥。





あんたがいちいち気にさせんだもん‥。





それに手だって熱いし‥。





せめて掴むなら手じゃなくて手首に‥。





「‥‥‥?」





あれ‥‥‥。





こいつの腕‥。





そいつのたくしあげた半袖のお陰で、私は意外な物を見るハメになった。




「あんた‥タトゥーなんか入れてんのッ‥!?」

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