《MUMEI》
帰宅
志穂さんを先に降ろし、車は俺の住むアパートの駐車場に着いた。


「すごいね」

「…アハハ」


(降りづらい)


現在の状況。


俺と徹さんが乗った車の周りを囲む、柊・志貴・祐・頼・厳


プラス、守と吉野


柊の後ろに希先輩


志貴の後ろに拓磨


頼の後ろにエイミー


厳の後ろに松本・石川


守と吉野の後ろに、真司と長谷川


そして、すこし離れたアパートの階段前にいる


緑川と鏡月


「スキャンダル起こした芸能人を乗せてる気分」

「それでいくと皆はマスコミですか?」

「まぁ、そうだね」

「…正直、降りづらいです」

「だろうね」


運転席にいる徹さんは、後部座席にいる俺を振り返って苦笑した。


その時


コンコン


(ん?)


窓を叩く音に、俺が反応すると


『おかえり』


そう、笑顔で言っている志貴が見えた。


『きっと大丈夫』


俺は、志穂さんの言葉を信じて


「ただいま」


そう、口を開いた。


そして、ドアを開けた時


避けきれず、ドアに当たったのは


何故か、拓磨だった。


拓磨がおかしな格好で転んでくれたから、少し場の空気が和んだ。

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