貴方の中の小悪魔
を知る神秘の占い《MUMEI》「花」-2
「よーし、やる気出てきた!」
彼女は今にも飛び出していきそうな程、生き生きとしている。
(まぁ、いいんだが)
俺はつい忘れそうになっていた霧の魔女について聞くことにした。
「店主、霧の魔女って知らないか?」
「さぁ…初めて聞く言葉だな」
「そうか…」
いきなり情報が途切れる。魔女というのなら人間の間でも伝承かおとぎ話などで、比較的知られていると思ったのだが
「魔女というのなら、先ずは魔法学園があるグリスへ行ってみては?」
「グリス?」
そこへ、チョコレートパフェを食べていたアシュリーが口を開いた。
「グリスのエメラルド魔法学園ってかなり有名な所だよ、王都にも近いから情報もいっぱいあるんじゃない?」
魔法学園か、確かに魔女と関係がありそうだ
「場所はクランフォードからずっと南、徒歩ならシャラ山岳を越えないと行けないですが、船を使う方がずっと楽でしょう」
店主はそう言うと、棚の引き出しから一枚の厚紙を取り出した。
「どうぞお使いください」
それは世界の地図であった。こと細かに都市や地形が記載されている。
「これ、パッキ・クランフォードが書いた地図!」
アシュリーは驚きで目を開いた。
「晩年のパッキ様よりお預かりしたものです。これを必要とする人間に是非使って欲しいと」
あの老人…いや、パッキ・クランフォードは俺に地図を託したのか
コインをじっと見つめる。
「ありがとう、大事に使わせてもらう」
地図を受け取ると、その時、あのパッキがふっ、と笑ったような気がした。
「さあ!それじゃ霧の魔女を探す冒険の旅に出発よ!!」
アシュリーはやる気全開だ、だがこれからの旅が少し楽しいものになる気がした。
「まずは港区アクアライムね」
「待て待て、その前に色々と準備を…」
その時、後ろから声をかけられた。
「あの…」
マントをグイッと引っ張られる。
そこにはアシュリーよりも小さい女の子、白いワンピースにまるで夏の木々のように鮮やかな緑の長髪をなびかせていた。
「あの、猫さん、冒険者なんですよね」
「あ、まぁ一応」
「お願いがあるの…」
少女はそっと両手を広げた。
そこには萎れた花が一輪寝かされていた。
「萎れちゃってるね」
(この花は…)
薄い水色の小さな花、だが今は命の息吹を失っている。
「お母さんを助けて欲しいの、だからラミリスの花を採ってきて…、早くしないとお母さん死んじゃう!」
少女はうつむき、そして泣き出した。
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