《MUMEI》

  
(さくらが仕事で出て行っている間、どうしようかな…)

とりあえず散らかっていた部屋を整理して書類をまとめていたら、棚が欲しくなった。

この部屋にはあの”フスマ”の中の”オシイレ”以外にはあまり収納は無くて、溢れたものは段ボールの箱に適当に投げ込まれている、というカンジだった。

(あ…そっか…模様替えしちゃおう)


僕は、さくらに渡された鍵をちゃんと掛けると、こっちに来て見つけたりガイドブックで調べていたこの近くの街に出てきて、色々なお店を見て廻った。



”ハウスキーピング”って言われたもんね。

だから部屋を綺麗にしなければ。

それと”お前はメイドね”と言われたようなものだし。

だから僕は、ご主人様であるさくらに喜んでもらわなければ。



家具や雑貨のある店で、書類の整理出来そうな格好いいボックスと、ジャパニーズな床にも合うようなマットを買ってきた。

買い物が楽しいなんて思ったのは、どれくらいぶりだろう…。

ウキウキして歩いていたら、ちらっとショーウィンドウにディスプレイされていた、シャープでさくらに似合いそうな服を見つけた。


(そうだ、プレゼントしよう///)

部屋にあった服はいいのもあったけど、あまり露出の多いものは無かったので、さくらの綺麗な肌がよく見えるような服を色々と見て回った。

さくらに似合いそうな服を何着か選んでいると、ふと、変な事に気が付いた。


(あれ…男の人がいない…)


僕が入ったの所は女性向けのファッションブランドだったんだけど、そのフロアには女性の姿だけしか見えなかった。

女性にプレゼントを選ぶ男性ぐらい、居ても良さそうなモンなんだけどな…。

サイズなんて知ってるだろうし、付き合ったばっかりで知らなくても彼女の身体を見ていればなんとなく分かるだろうし…。


もしかして…あれかな。
  

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