《MUMEI》

日本人はシャイだから相手に対して消極的だって、日本好きな友人から聞いていたから…多分、それなんだろう。

だから、日本人を口説き落とす時は積極的に行けば簡単に落ちる…と言っていたのを話半分に聞いていたけど…。

それって本当なんだろうな…。



女性の下着が売ってある所に行ってみても、そこにはやっぱり男性の姿は無くて、逆に周りの女性に奇異な目で見られてしまった。

(彼女に着て貰いたいものを選ぶのはワクワクするし、とっても楽しい事だと思うんだけどな…)


日本の年輩女性達の視線に耐えながら、それでも探してみると、やっぱりさくらのような大きなサイズは無かった。

(ドイツにはいっぱいあるのにな…さくらをドイツに連れて行きたいな…)


聡明でゴージャスなさくらを連れて歩いたら、アホなモデル達よりもバカっぽく見える僕でも、なんとか賢く見えそうだし…。

それに、さくらが居てくれれば兄弟にもバカにされないだろうし…。



さくらと一緒になりたい…。

そして、ずっとずっと…。

僕はさくらの後ろ姿について行くから、さくらは僕を連れて歩いてって欲しいんだ。

僕の、勝手なお願いだけどね。

= = = = = = = = = = = = = = = = = = = =

「ただいま……うわっ!!」

バタン!

「あれ…間違って無いよな…」

この自分の鍵で開くんだから、自分の部屋だよな…。


もう一度…玄関の扉を開けると、朝に出ていった時とはガラリと雰囲気の違う風景が目の前に広がっていた。


「さくら〜ただいま〜///」
「お前…おかえりなさいだろ…」

雰囲気が一転した風呂場に行ってみると、なぜか照明がピンク色になっていて、浴槽の縁にキャンドルや、なぜかブックスタンドが置いてあった。

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