《MUMEI》 不可解…あの日から、柊は知るはずのないことをよく言うようになった。 しかも、それらの全てが正確なのである。 それだけでもかなり不気味だというのに、俺には更に不気味なことが起こり続けた。 それと同じころから俺はよく怪我をするようになったのだ。 この二週間の間に 工事現場から落ちてきた鉄骨が腕にかるく当って骨折をしたり 体育の授業中に何かに足を引っ掛けて捻挫をしたり 調理実習で包丁が足元に落ちてきて切り傷をつくったり と怪我があとをたたなかった。 一体、何がどうなっているのか俺は知る由もない。 そして、11月に入って俺の家族も皆退院したころ、最悪の事態が起きてしまった……。 それは、いつものように三人で帰宅しているときのことだった…。 「黎夜、大丈夫か?最近、怪我 多すぎだぜ」 「大丈夫だ。たいしたことねぇ から」 「そうはいってもさ、鉄骨とか 頭に当たってたら大変だった じゃん!!」 「まぁな。でも、実際は当たっ てないんだからさ」 智と椋がかなり心配してくれている中、俺はこれ以上の心配をかけまいと、今回の出来事をかるく受け止めてるんだというふうに装った。 「でもさ〜、変だよな。俺達い つも三人でいるのに、黎夜だ けって。俺が一番危なそうな のに」 「何で椋が一番危ねぇんだ?俺 も黎夜といるのに」 「だってさ、俺が一番不注意で 危なっかしいと思わない?」 「あぁ〜(二人とも納得)」 「う゛〜、何かあっさり納得さ れるのもムカつく…」 「自分で言ったんだろ。…あ、 じゃあ俺はここで。黎夜、気 を付けて帰れよ。また明日な」 「おう、またな〜」 「じゃあね〜」 前へ |次へ |
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