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《MUMEI》 嫌な予感智と別れた俺達は、暫く俺の怪我のことを話していたが、その話題が一段落すると、椋が遠慮がちに質問をしてきた。 「…なぁ、黎夜はさ、まだ 海帆ちゃんが変だと思う？」 「…あぁ。あいつは、他の奴ら とは何かが違う」 「そっかぁ。……あのさ俺ね、 今日海帆ちゃんに変な質問を されたんだ」 「変な質問？」 椋にしては珍しく、真面目な顔をして語り出す。 「そう。『今度は私の願いをき いてくれる？』って」 「お前、柊から何か頼まれたこ とあるのか？」 「ううん、何にも。だから変な んじゃん」 「で、椋は何て答えたんだ？」 「『前に何か頼まれた覚えはな いけど、海帆ちゃんの願いっ て何なの？』って聞いた」 「それで？」 「『やっぱりあなたも覚えてな いのね。…でもいいわ。私の 願いが叶うなら。ねぇ、高岡 君が一人になる時を教えてく れない？それが、願いを叶え るのに必要な情報なの』って 言ってた」 「……で、椋は教えたのか？」 「え？…うん、一応。『帰りに 俺や黎夜と別れた後なら一人 だよ』って。告白でもしたい のかと思ったからさ」 違う、告白なんかじゃない 俺は直感でそう感じた。 もっと何か、嫌なことが起こりそうな気がしてならないのだ。 俺はもと来た道を戻ろうと、踵を返した。 「……取り敢えず、智のところ に行こう」 「えっ？何で？」 「何か、胸騒ぎがするんだよ。 柊と智を二人にしちゃいけな い気がする」 「ん、分かった。早く行こう!!」 俺達は、全速力でもと来た道を戻って智を追いかけた。 前へ |次へ |
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