《MUMEI》
過去を話す条件
「何でエイミーだけ帰すんだよ。エイミーだって、身内なのに」


(俺だって、そう思うよ)


寂しそうなエイミーの去っていく背中を見ながら、俺の胸は痛んでいた。


頼の不満は予想できた。


(でも)


「このメンバーにだけ、話したい事があったから」


(本当は祐も入ってたけど)


祐は、過去にこだわらないと


俺の過去に興味を示さなかったから。


「皆、俺が志穂さんと、ストーカー、…弘也といた時、叫んだだろ」

「希叫んでないし、エイミーだって近くにいた」

「希をいじめるな」

「「話が進まないでしょ」」


睨み合う頼と柊を、志貴と希先輩が止めた。


「…で?」


頼が不機嫌なまま、続きを促した。


「忍が、来週来る。

…忍が、お前等になら、俺の過去を話してもいいって言った」

「何で来週? 何で祐也からじゃないの? 何でエイミー駄目なの?」

「忍が、言ったから」

「何て?」


俺は、頼の質問攻めにあっていたが、皆の視線も


皆の気持ちも、頼と同じなのを知っていた。


だから、皆に対して言った。


「俺が知らない俺の過去を忍が喋るから。エイミーに関しては悪いけど、理由わからない」

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