《MUMEI》
頼の不満
「納得できない」


頼はきっぱり言った。


「なら、お前は話を聞かない方がいい。…みたいだ。

忍は、絶対にエイミーには話さないと言った。

エイミーに秘密にできないなら、頼も聞かない方が…」

「だからエイミーを仲間外れにする理由を言えって言ってんだよ!」


頼は俺の両肩を掴んで、体を強く揺さぶった。


周りがすぐに引き離したが、頼の不満はおさまらず、厳と柊が押さえていなければ、俺を殴りそうな


殺気に満ちた目で、俺を睨んでいた。


「俺の、過去は普通じゃない」

「だから何だよ! 志貴だって希だって、柊だって、純情だろうが!

厳はヘタレだし!」

「…そうだな」

「俺は否定してよ、祐也」


厳は情けない顔をしたが、俺は否定しないまま続けた。


「だから俺は俺の過去を誰にも話すつもりは無かったし、知られたくないと思った。

今でも、そうだ。

でも、中途半端に知られたから、どうしようか迷った時、志穂さんが大丈夫だと言ってくれた。

忍が話すと言った。

正直、忍の内容は俺も知らないし、怖い。


だから、聞きたくないなら、聞かなくていい。誰も」

それは俺の本音だった。

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