《MUMEI》
来年   (完結)
また来年も来る約束して、妖と別れたあたしは屋台の方に戻って来た。





ばったり鉢合わせた和歌は、かなり心配してたみたい。





「──もぉ、どこ行ってたの?」

「あはっ、ごめん──ちょっと迷っちゃって」

「紗織ってばほんと危なっかしいんだから──。あれっ‥そのお面どしたの?」

「‥お面‥?」





いつの間にか、私の手にはあの子のお面が握られてた。





びっくりして、振り返る。





でも、あの子はいない。





「紗織?」

「ううん──何でもない」





何か、ちょっと嬉しい。





来年は──あの子の秘密が分かるかも知れない。

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