《MUMEI》 「そういえばおまえは賞金首だったな。もしかするとそいつらは金が目的なのかもしれない」 「ちょ、待った。俺が賞金首?」 思いもよらない織田の言葉にユウゴは目を瞬かせる。 「別に驚くことはないだろう。おまえはそれだけのことを仕出かしているんだ」 「そりゃ、そうかもしれないけど……。けど、そんな情報テレビでは言ってないはずだ」 ユウゴが言うとケンイチが「そりゃそうだ」と肩をすくめる。 「テレビとかでは公表してないからな。ネットのプロジェクトのホームページにだけ載ってんだよ」 「そうなのか」 ならば知らないのも無理はないとユウゴは納得した。 ネットなど見られる環境ではないのだ。 「で、俺の首の値段はどのくらいなんだ?」 仮にも政府の機関からの手配である。 少額ではないだろうと予想しながらユウゴは聞いた。 しかしケンイチはわずかに首を傾げた。 「……あれ、覚えてないな」 「おい」 ユウゴは思わずつっこみながら織田に視線を向ける。 その視線を受け、織田は思い出すように口を開いた。 「書いてなかったな」 「書いてない?」 「ああ、たしか何かの団体に登録しなければ額が見れないようになっていた」 「なんだよ、その団体って?」 「さあな。聞いたことのない名前だった。だが、おそらく冗談混じりで首取りに参加する奴らを出さないためだろう。賞金欲しさに偽情報が出回っては本末転倒だからな」 織田の言葉にユウゴは納得して頷いた。 前へ |次へ |
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