《MUMEI》 「けど、それじゃあいったいどんな奴が狙ってくるかわからないな」 ユウゴが言うと、ケンイチと織田は同時に頷いた。 そしてすぐにケンイチが笑みを浮かべる。 「っても、今の状況はあのプロジェクトとほとんど同じだろ? 気張る必要なんてないって」 「おまえは……。よくそんな脳天気で生き延びられたよな」 ユウゴは呆れながら言い、すぐに「ああ、そうか」と納得した。 「織田がいたからだな。織田がいなけりゃ、おまえは絶対死んでたはずだ」 するとケンイチは不愉快そうに眉を寄せる。 「そんなわけねえだろ。生き延びたのは俺の実力だ」 「どうだか。おまえ、肝心なとこでヘマしそうだからな」 「おまえは俺という男を知らねえな。俺はやるときゃ、ビシッとやる男だぜ。な?」 ケンイチは言って織田に目を向けるが、織田は無言のまま歩いているだけだった。 「なんだよ、ノリ悪いな」 織田という男にノリを期待する方がどうかしていると思いながらユウゴは小さく息を吐いた。 直後、突然織田が歩む足を速めた。 「おい、織田?」 ユウゴとケンイチは何事かと顔を見合わせ、とりあえず彼のスピードに合わせて歩く速さを上げた。 前へ |次へ |
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