《MUMEI》
着ぐるみとちびっこ
翌日


文化祭・一般公開一日目。


「はい、これ」


呼び込み用の衣装として、笑顔の佐藤に渡されたのは


黒猫の、着ぐるみだった。


「津田さんも今着替えてるから」


(それで、志貴も緑川もいないのか)


そして、俺は強引に佐藤に着ぐるみを着せられた。


「はい、看板持って」


場所と、『お犬様 お猫様いらっしゃ〜い』と書かれた看板を持たされた。


「行ってらっしゃ〜い!『ニャー』以外喋るなよ〜!」


押し出されるように、俺は教室を出た。


(さすがに、暑いな)


着ぐるみの下には、いつものように上はタンクトップとTシャツ


下は、佐藤の勧めで体育用の短パンを履いていたが


やっぱり暑かった。


そして


「うわ、猫だ!」

「おっきーい」



俺は、行く先々で、子供達に捕まっていた。


(子供向けの店じゃないのに、何考えんだか…)


うんざりしながらも、俺は子供達の相手をしながら、ゆっくり校内を回っていた。


そんな時


「あー、今度は猫さんだ!!」


こちらに猛ダッシュしてくる女の子が見えた。


(『今度は』って、志貴に会ったのかな?)


そんな事を考えていたら…

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