《MUMEI》
意外な特技
「海、睨んじゃ駄目だよ」

「ウッセー」


(何か用なら早く終わらせてほしい)


俺はそわそわと落ち着きない動きでそれをアピールしてみた。


「あ、ごめんなさい」


杏さんは、それに気付き


「尻尾、とれかけてる」


用件を言った。


(え!?)


俺は尻尾を掴んで軽く引っ張ってみた。


ブチッ


(えぇ!?)


尻尾は簡単に取れて


(ど、どうしよう)


俺の右手の中にあった。


「こいつもドジだな」


馬鹿にしたような、海さんの声を


否定できなかった。


「大丈夫、付けてあげる!これでも私裁縫得意ですから!」


返事をする前に、杏さんがバックから裁縫セットを取り出した。


(でも、ここじゃ…)


ここは廊下のど真ん中だった。


「そのまま縫ったら針刺さるんじゃね?」


(ありうる)


「そんな事無いもん!」


俺と海さんの言動にムッとしながらも


(スゲー)


本当に、その場ですぐに


あっという間に尻尾を付けてしまった。


もちろん、俺は無傷で


いつの間にか集まっていたギャラリーから、拍手が起こった。

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