《MUMEI》
気にしないし、気にならない
「海、海。謝って、謝って早く早く早く」


俺の真後ろにいる杏さんが、小声で海さんに言っているのが聞こえた。


「気にしてないからいいですよ」

「「え?」」


振り返って笑顔で言うと、二人共ポカンとして、口を開けていた。


「やっぱり恋人同士、似てますね」

「な、…」

「何でわかったんですか?」


(そりゃ)


「見てれば普通にわかりますよ?」

「だって私高三なのにチビだし!」


(あ、同い年なんだ)


「…俺なんか、高二で、でかすぎだし」


(年下か)


黙って相槌を打つ俺が、よほど意外だったらしく、二人はなかなか言葉が続かないようだった。


「杏さんは、身長いくつ?」

「ひ、140…」

「それよりは高いけど、小柄な大人知ってるから。

ちなみに、海君は?」

「今、190…多分まだ、伸びる」

「俺の周り身長高いヤツ多くてさ。

一番高い大人は、195。

君と同い年で、188のヤツいるよ。

あ、着いた」


俺が教室を開けると


そこは…


何とも言えない空間になっていた。


「おかえり、祐也!」


俺と同じ位汗をかいて、…少し色気がある志貴が、笑顔で出迎えてくれた。

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