《MUMEI》

覚醒しきれぬ頭で腕を動かし目覚まし時計のヘッドを叩く。
 静寂が訪れ、二度寝しそうになる体に鞭打って上体を起こした。
音を立てる寝具を掌で叩き、床に足を着けて立ち上がる。
桑木 拓(クワキ タク)は背筋を張り両腕を伸ばすと、うーんと声を洩らしながら首を左右に振った。
体の動きに合わせ、何度も染色を繰り返された金色の髪が揺れる。
痛んでいるため、サラサラとは言い難い流れに片手を突っ込み掻き混ぜるように上下に梳いた。
大口を開け口の隙間から空気を漏らし、緩慢な動作で部屋から出る。
そして、朝食を取る為に1階へと降りていくのだった。

前へ |次へ

作品目次へ
ケータイ小説検索へ
新規作家登録へ
便利サイト検索へ

携帯小説の
(C)無銘文庫