《MUMEI》
4
怒鳴る相手をいさめようと、

「とにかく、傷の治療を…」
「はぁ!?天使のクセに……変なヤツやな、お前。」

「そうですか?怪我をした人を治すのは普通ですし、あなたは悪魔ですけど私に敵意がありません。」

微笑みながら言うティアラに彼は少し驚いたような顔をしていた。

「本格的に変なヤツやな、お前名前は?」

「ティアラ、ティアイエルと、そう父から名は授かっております。あなたは?」
「シン、正式名は長すぎて面倒くさい。」

「傷はもう平気ですか?」

「問題ない。なぁ聖歌やない歌、聞かしてくれんか?」

「かまいませんよ、誰かに聞いてもらえるのは嬉しいですから。」

そうしてティアラは歌い出した。

風が吹き、花弁が空に舞い上がる。

これからの動乱が嘘のような晴れた日、それが二人が最初に逢った日。

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