《MUMEI》
他のコース
「あ、あれを、私と海も?」


杏ちゃんは真っ赤になり


「…無理」


海は固まった。


「えー、あれで? 他のコースの方が濃いけど?」


そう言って、志貴が二人を案内した他の二つコースのうちの一つ


『トリミングコース』には


エイミーに髪をブラッシングされたりマッサージされてうっとりされている頼がいて


また、二人は固まっていた。


「後は…、『散歩コース』だけど…」


志貴が説明しようとした時


「ポチ、行くわよ」


お嬢様風の女性と


「わん!」


それに従う…ヤンキーの姿が目に飛び込んできた。


(あれは、嫌だな…)


ヤンキーは耳の他に首輪をしていて


首輪から伸びた鎖を彼女が握っていた。


二人は人目を気にする事なく、店員役の俺達の同級生からおすすめスポットが書かれた地図を持ち


教室から、廊下に出て行った。


「…首輪と鎖、用意してたかしら?」


(え? それって…)


小声で呟いた志貴の言葉は俺にしか届かなかったが


俺はあえて確認はしなかった。

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