《MUMEI》
後悔
翌日、学校で担任の口から告げられたのは、残酷な現実だった。













「皆に残念な知らせがある…。今朝、高岡 智が…亡くなった」












一斉にざわめきだす
クラスメイト達。












―――智が…死ん‥だ?




嘘だ。そんなの……嘘だよな?

だって、昨日意識戻って話もしたじゃねぇかよ。





―――残念な知らせ…?






そんな簡単な言葉で表現できてしまうものじゃないだろ?














いくら頭で否定しても、


周りの雰囲気が……
昨日見た智の姿が……


智の死が嘘ではないことを物語っていた。










今朝息をひきとった俺の親友。

昨日まで一緒に笑い合って、たくさん喋って、悪ふざけした、一緒に帰って………確かに智は存在したはずなのに…もういないんだ。


いくら望んでも、もう戻ってくることはないんだ…。










昨日は、事故が起きた後すぐに救急車を呼び、俺達も病院へ行った。


手術が終わり、暫くしてから一時意識が戻り、話をする事はできるが、とても危険な状態にあると医師は告げた。


俺達は、病院に泊まって、ずっと智の傍にいるつもりで…


でも、医者や看護師に「患者の体に障るから今日は帰ってほしい」と言われたから、仕方なく夜中に家に帰った。













そして、今朝初めて知った・・・智の死。







あの時


俺と椋が口喧嘩なんかしなければ…


智の横を歩いていれば…


家までちゃんと送り届けていれば…




こんな事にはならなかったかもしれないのに……!!



病院でも、もっと粘って智の傍にいればよかった……。

そうすれば、少なくとも最期を看とることだけはできたかもしれないのに…。




俺と椋は、ただひたすら後悔するだけだった。










そうやって後悔する中でも、俺は病室を出るときに聞いた智の最後の言葉が気になっていた。




智はあの時 何の事を
言いたかったんだろう?

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫