《MUMEI》

「は……あぅ、  ン、 ンッ……」

漏らしたくない、気味悪いくらいの甘ったるい吐息が吐いても吐いても絶え間無く出て来る。



……七生の指が強引に収まって、中指と人差し指の作る隙間に薬指が捩込まれた。

窮屈さと、摩擦熱、中に惷くもの達の擦れる微量の痛覚。


食いしばると七生の中へ沈んでしまいそうになる。





 頭が、
   おかしい


気付いた時には
もう、七生の両手は俺を支配していた。

何を口走ったかも記憶してない。





「……じろー、もっと、乱暴にしていいよ。全部俺が抱き留めてやる。嫌なのも怖いのも、無くなるように俺だけの思いで埋めておくから……」

何度も
七生のその柔らかな音に意識を奪われかけながら引っ掻いて、爪を立てた。

溢れ出たものが、七生の手の中に広がってゆく。
掬い上げられる汚いもの……

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