《MUMEI》
nachsten Tag.翌日。
目の前が塞がれて暗かったから、いつ気を失ったのか分からなかったけど…気が付いたら見慣れた部屋の天井が見えた。

「…克哉…さん」

ゆっくりと重い体を起こして周りを見渡すと、いつもの部屋のいつものベッドで、いつも隣に寝ている克哉さんの姿が見えなかった。

「…ぅ…ダルい…」

時計を見るともう昼を回っていた。

「……あっ、くるみちゃんι」

確か今日は平日で、くるみちゃんの幼稚園があった筈だ。


慌てて飛び起きようとしたが、身体が重怠くて言うことを聞かない。

それでも、裸だったのでガウンを羽織り身体を引きずってリビングに行くと、テーブルの上に書き置きがあった。

「ん…くるみは…」

その紙には”くるみは俺が送り迎えをするから、今日は休んでいろ”と書かれていた。

「克哉さん…」

克哉さんだって疲れてるだろうに、こんな事じゃ申し訳ないな…。




ベッドルームに戻ると、シーツを取り替えて洗い物をバスケットの中に入れる。

洗濯機は部屋には無くて、広い地下室に何台かあるランドリーを使って洗濯をするようになっていて、外に洗濯物が干せないから、そこで乾燥も全部やってしまうのだ。

くるみちゃんの部屋に行くと、そこのベッドのシーツも取ろうとしてしゃがみこんだ。

(…いい匂い///)

さっきまで寝てたような温もりと、子供特有の甘い香りが鼻に広がる。

(くるみちゃん///)

くるみちゃんの好きな猫のアップリケを端にしてあげた枕に顔を埋めると、くるみちゃんを抱っこした時のような可愛い香りがした。

= = = = = = = = = = = = = = = = = = = =

「アキラしゃん、おりぇのベッドでねんねしてるの」
「あぁ…そうみたいだな」

くるみを迎えに行って帰ってくると、アキラが力尽きたようにくるみのベッドで突っ伏して眠っていた。

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