《MUMEI》 手首が痒くなる。 突発的なものだ。 鼻から、吸い込んだ煙の感覚から抜け出せ無い。 強い煙草が欲しくなる。 決まって頭が短絡的にしか働かなくなり、思わぬ行動に出てしまったりもした。 最近は煙草だけに依存していたせいか、幾分マシになれたが。 手首の痒みだけは治せない。 いつか、そこから腐り落ちるに違いない。 時計の針の動く音を感じながら、思う。 時計は父親が昔、入学祝いに貰ったものだ。 いいものを買ったせいで後々、火の車だった。 前へ |次へ |
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