《MUMEI》
告白
 人は弱さを隠す為に仮面を被る。
誰も見ないで、と本音を全て覆い、偽りの自分を作りあげるのだ。
虚しいなどと感じることもなく、自分を演じるだけの人生。
 人間は役者だ。
何処に本心があるのか、親しい人にも解りはしない。
自分自身でさえ察することの出来ぬものを他人に解れと言うのは無理な話なのだ。
期待をするだけ無駄なのに、何故だろう、解って欲しいと思うのは。


1.告白


 言葉が口を出ていかない。
驚き過ぎて息をするのすら忘れ去る。
何故、どうして、WHY?
思い付く限りの疑問詞を思い浮かべてみるが、やはり音にすることは出来なかった。

「すんません、驚かせて。でも俺、本気っすから」

伏し目がちに此方を窺いながら、芯のある強い口調で物申したのは後輩の三田村 安月(ミタムラ アツキ)だ。

「や、いきなり何言い出すんだ、テメェは。ホンキとか言われて信じられると思うんか? つか、信じたくねぇよ、俺は」

やっと使い物になった喉を駆使して文句を垂れる。
相手は堪えた様子もなく真剣な顔で首を振る。

「そりゃ、そうっすけど。もう、隠しておける自信ないんで、覚悟……して下さい」

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