《MUMEI》

「ぁ──ねぇ、後でさ、勝負やんない?」

「‥勝負‥?」

「幼稚園の時のあれ。運動会の。あんたから吹っかけてくるかなぁって思ってたんだけどさ」

「‥別に、あれはもういーんだ。元々そんな事したくて追っかけて来た訳じゃねーし」

「ほんとに?」

「‥ぁぁ」

「でもさ、あの時──相当ヘコんでなかった?」

「‥‥‥そりゃ‥‥‥あれだけはお前に負けた事なかったし‥」

「じゃさ、もっかいやろうよ。ねっ?」

「‥いい」

「だーいじょーぶだって、今度は絶対──」

「‥何でそんなにしつけーんだよ」

「私もやりたいから☆」

「──‥お前がやりてーだけかよ」

「どうしてもやならやめるけど?」

「‥‥‥やる」

「ぇ」

「‥やってやるよ、勝負」

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