《MUMEI》 「シャイセ!フェァピス ディッヒ!(くそー!消え失せろ〜)」 「くるみちゃん!!」 どうやらカートの下に隠れていたくるみちゃんが、飛び出してきて男の人に向かっていったらしい。 「ウェーグ!ウェーグ!(あっち行け〜あっち行け〜)」 「あっ、ダメダメっ!もういいよ大丈夫だから///」 男の人を蹴っていたくるみちゃんを抱え上げると、半ベソをかいて興奮気味なくるみちゃんをギュッと抱きしめた。 それを見ていた周りに居た人達から歓声が上がり、おじさんからブレイブ〜なんとかと言われていた。 多分”勇敢”だとか言われているんだと思う。 「うぅ〜…あきらしゃんは…おりぇんだ///」 「くるみちゃん勇敢だね…すごいね…ありがとう///」 鼻が出てるけど勇敢なくるみちゃんをギュッと抱きしめると、くるみちゃんも怖かったのか僕の肩をギュッと握ってきた。 その僕に話しかけてきた男の人はバツが悪そうに苦笑いすると、僕らに”バイバイ”と言い、店の奥の方に引き上げて行ってしまった。 「ごめんね、僕がぼんやりしてたから…」 「ううん…おりぇがヒーローになってね、アキラしゃんを助けるから大丈夫だよぉ」 「うん、ありがとう…でもあれ、何て言ってたの?」 くるみちゃんが男の人に向かっていった時、叫んでいた言葉。 ドイツ語だと思うけど、聞いた事も無いような言葉だった。 「あのねぇ、ヒーロぉーのキメゼリフぅなんらってばよぉ!」 そう言ってくるみちゃんはアニメのようなキメポーズをとって見せてくれた。 「ヒーローかぁ…僕のヒーローだねくるみちゃん」 「まきゃせろッてばよぉ///」 そのキメポーズをとる後ろ姿が、可愛らしくもあったけど逞しくもあった。 「でもね、無理しちゃダメだよ」 「わきゃったってばよっ!」 ピョンピョン跳ねるくるみちゃんを笑いながら見て、買い物を済ませると、店の裏手辺りで僕に話しかけていた人がお仕事をしていた。 (えっ…ココの店員さんだったの!?) 勤務中にナンパとか…そんな事もあるもんなんだな、と…そこでも文化の違いを目の当たりにした。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |