《MUMEI》 誕生日今日は午後から授業がなく、一人15分程度、進路指導室に呼ばれ、受験する高校を検討する日だった。 「名波先生だけならいいのに、笠原も一緒なんだもん。なんか感じ悪いよね。」 一つ隣の席に座る宏美が友達と話していた。笠原先生とは、うちのクラスの副担で、美人だけど嫌味な話し方をするので、女子からはあまり人気がなかった。 「二人と面談するの?」 私は光に質問した。光は推薦入試なので、先月、前倒しで終わっている。 「そうだよ。名波先生は余程じゃない限り好きなとこ受けなって感じだけど、あの人は。」 そう言って首を振りペロっと舌を出した。光も苦手らしい。 「そっか・・・。」 私は次に控える面談が苦痛だった・・・やりたいことや目標が特になく、進学理由が考えられない。でもできれば百花と同じ女子校に行きたいと思っていた。 「ただいま。」 「百花どうだった?」 面談が終了し、百花が教室へ戻ってきたので、私は急いで状況を聞いた。順番が近付いている。 「まあ、今のところ志望校は問題ないって。ただ・・・」 ちらりと私を見て続けた。「笠原先生が、名波先生にベタベタしてて感じ悪かったよ。あの人結婚してるのにさぁ。」 前へ |次へ |
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