《MUMEI》
喫茶店。
「ドコかに行くんですか?」
「あぁ、いい所に行こう」
「…”行こう”って…僕もですか?」

休みなのに珍しく千晶さんが服を着ていたので、どこかへ行くのかと思って話しかけたら、僕も一緒に行く事になっていた。

「下着は履いてもいいぞ」
「当たり前です」

ココでは下着をつけるなと言われていたので、部屋の中では長めのシャツを着ていたけど、たまに触られる事もあった。

何でそんな事に従ってるんだろう…と思うけど、ココに来てからはもうそれが当たり前になっていた。




「いい所ってココですか?」
「まぁまぁ、ココもだけど…焦るなよ」
「焦ってませんよ」

千晶さんに連れてこられたのは、何か変な道具や下着が売っている…僕一人では一生来ないような…いわゆる大人なお店だった。


(何だコレ…腕とか…キモチわるっ…)

いつもだったら千晶さんのこんなに近くに居る事は無いんだけど、気味悪かったので千晶さんの腕を掴み、ぴったりとくっついて一緒に歩いてった。

「こんなのどうだ」

千晶さんは変な色の…何だコレ?ってカンジの男性器のような形をしたものを僕に見せてきた。

「知りませんよ、そんなの…」
「ふぅん…」

……どうやって使うのかはなんとなく分かるけど…それがどうしたんだ…ってカンジだった。

それに、店に流れる音も響いて、頭が痛い…。

何で好き好んでこんな所に来るんだろう…。

そんなにヤりたいのか…大人ってワケ分かんない…。




店内を色々と物色して、千晶さんは何に使うのか分からないものとかを色々と買っていた。

(まさか僕に使うんじゃないだろうな…)


そんな事を思いながら千晶さんを見ると、僕を見てにっこりと笑っていた。



店を出ると、当然こんな店がある所だから来たことが無いような雑多な繁華街だった。

(怖い…)

そんな道をズンズン歩いていく千晶さんの後ろに、はぐれないようについていった。

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