《MUMEI》 氷の剣士VS黒い剣士彩詩に吹き飛ばされた式夜は体をひねって着地、そのままレイの方へと駆ける。 「勝負です。」 「・・・・・・・・」 無言で細身の剣を構えるレイ。 キン、キン、キン。 澄んだ金属音、火花が散る。夕凪が纏う風の刃がレイの体に浅い傷を負わせて行くが、レイの剣筋には乱れも無く鋭く式夜を狙っていく。 キィィン! 一際大きな金属音。そのまま鍔迫り合いとなる。 互いの視線がぶつかる。 「・・・凍。」 小さな声がレイの口から発せられる。 その言葉に周囲に蒼い燐光が散り、空気が数発の氷矢を形成、式夜へと狙いを定め飛翔。 「く・・」 小さく一歩後退、そのまま前へ。 強引にレイの横をすり抜け、氷矢の無いレイの後方へと移動。 ヒュンヒュンヒュン 風切り音を響かせ、氷矢が式夜の体に傷を負わせ血が舞う。 そのまま前へ。レイとの距離を離しながら、詠唱を始める式夜。 さらに傷を負いながら、レイへと向き直る。 無表情に佇むレイ。自分の放った氷矢が数発、体に直撃、掠め、血を流している。 「相変わらず・・無茶を・・天に堕ちる蒼龍よ、我が呼びかけに答え、纏いし雷光を貸し与えたまえ!」 一言、思わず漏らすが、そのまま得意の魔法を起動、放つ。 「ライトニングスプレッド!!」 13条の雷が空を焦がし、疾る。 レイへと届く瞬間、雷が歪み、逸れる。 「予測済み。」 レイの周囲には氷のチリが舞い光を反射し、キラキラと光っていた。 「氷で・・曲げたって事ですか。」 僅かに悔しそうに表情を歪め、剣を構え直す式夜。 「夕凪、牙を。」 「了解、起動。」 声をかけ、起動状態を、爪から一点突破型の牙へと変える。 キーィン 金属同士がぶつかる清音が響く。 「雹」 レイが一言発するとともに、右手の指輪を剣に打ち付ける。 キーィン 再び音が響く。 ピシピシピシ・・ 式夜の周囲の空気が音を立てて凍りつく。 「何を・・」 「葬。」 小さく、声が聞こえた。 レイの姿が視界から消える。 「・・・」 無言で瞬動を起動、どう考えても危うい範囲から離脱しようとする式夜。 パリン・・ 氷を踏み砕く音が横で聞こえる。 咄嗟に横へと飛ぶ式夜。 「良く避けた。」 声が再び聞こえる。 パリン・・ 振り向く間も無く、左肩が切り裂かれ、血が流れる。 目の前には空中に佇むレイ。 前へ |次へ |
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