《MUMEI》

私は百花の言葉に、モヤモヤしながら、進路指導室に向かっていた。
先生は私以外の女の人には触れないはずなのに、ベタベタしてたの・・・?
なんだかいやな気持ちだった。


「失礼します・・・。」
私が教室に入った瞬間、笠原先生は名波先生から離れた。笠原先生は慌てた顔をしているが、先生は無表情だった・・・。

私は二人のことをじっと見つめた・・・。


「広崎・・・座って。」
まるでさっきの重たい空気はなかったかのように、先生はいつものトーンでそう言った。

「はい。」

私は明らかにテンションの低い声で、返事をする。

先日記入した、進路希望調査表を示された。

「志望校は公立のK女子校か・・・理由は?」
名波先生に尋ねられた。

「私立は行けないので、A判定の中で自宅から近い学校を選びました。」

私は用意していた回答を淡々と答える。
そのコメントに『ふーん』という感じで鼻を鳴らしながら、笠原先生は、私のテスト結果表を見た。


「え?広崎さんってものすごく頭いいのねぇ。K女じゃなくて、共学のN校も合格圏内じゃない?」

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