《MUMEI》

(それにしても、背…高いな…)

改めて見ると、やっぱり背も高くて、背中も広くて逞しい。


”男”ってこういうもんなんだよね…。


逆に、僕はクラスでも普通くらいの身長で、体格は全然細くて、まるでクラスの女子と変わらないくらいだった。

(こんな人…居るんだな…)

もちろん居るだろうけど…。


兄さんも僕より背が高くて、華道のお師匠さんなのに”そんな体格無駄じゃないか?”というほど逞しい身体を着物の下に隠していた。

兄弟なのに体格だけは似ていない。

でも、顔はなんとなく似ていたので、辛うじて兄弟だって事は分かるってぐらいだった。


その兄さんの同級生か…。


どんなクラスなんだよ。



前を歩く千晶さんが僕の方を振り返ってくると「喫茶店に入らないか?」と言ってきた。

僕もちょっとさっきので疲れたし喉も乾いたのでコクリと頷くと、千晶さんは僕の背中を押して地下にある喫茶店に入ってった。

「?」

(何だろう…)

あまり行った事は無いけど…普通、喫茶店って眺めのいい上の階か広い1階だったりするんじゃないだろうか?

そのお店に入ると、中は薄暗い雰囲気で、普通の喫茶店にあるようなテーブルやイスは無く、靴を脱いで入るような所だった。



「何ですかココ?」
「まぁ、楽しめよ」

楽しむって…。

とりあえず千晶さんに連れられて入っていくと、下は変な革張りの床にソファーが置いてあって、そこに座らされた。

「……あの」

そのソファーに座ると店員さんっぽい人が飲み物を持ってきて僕らの目の前の低いテーブルにそれを置いてった。

僕はちょうど喉も乾いていたのでそれに手を伸ばしかけると、千晶さんに制止されてしまった。

「何ですか?」
「イイもんがあんだよ」

そう言うと千晶さんは胸ポケットからピルケースを出して、その中からカプセルに入った薬か何かを取り出して僕に見せてきた。

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